それでも眠れない夜には

マーラーでも・・・


 このグスタフ・マーラー交響曲第5番 第4楽章アダージェットは、ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「ヴェニスに死す」(Death in Venice)全編にわたって流れる音楽としても非常に有名であります。

 ヴィスコンティ作品は好きです。ワンシーンワンシーンが一枚一枚の絵画のように美しい。
もっとも作品数としては5、6本ぐらいしか見れていなくて、好きだという資格があるのかも疑問ですが、レンタルビデオ(DVD)店にもほとんど置いておらず(文化的な東京なら置いてるかな?)なかなか見れないのが実際のところです。


 この「ヴェニスに死す」を見たときの感動は忘れられません。幸運なことに映画館の大スクリーンで見れたことが、よりよい印象を持つことができた大きな要因かもしれません。
今から10年ぐらい前の夏の日だった記憶があります、渋谷のBunkamuraの映画館でヴィスコンティ数作品をリバイバル上映していたのです。当時、僕は外回りもあるような仕事をしていたので、若気の至りですね、(今ならクビです)、仕事の休憩ということで自分を許しながら、涼みがてらこの映画を見たのです。


 見終わった後、言葉もなかったです、ふるえましたね。
当時、僕は映画好きの女性とメール交換をしていまして、さっそくその感動をメールにて伝えたわけです、ヴィスコンティなんて分かっちゃう俺どう?的な気分もあったでしょう。それがなんということでしょう、「あの映画は、キモイじいさんが絶世の美少年を好きになる同性愛(ホモ)の映画だよね」(クスクス)、と断定されるわけです。
 いやいや待ってくださいよ、たしかにそういう側面はあるにせよ、それ以上に僕としては、老い疲れ果て死んでいく避けがたい哀しみとそれに伴うある種の滑稽、そしてそれに入れ替わるように未来に向かって生きる美しい若者との対比を描いた切なくも美しい映画なんだ、と言いたいわけです。


 それにしてもそのとき映画館に、おばさま(ちゃん)が大勢いて驚きました。大阪じゃそんなごく普通のおばちゃんたちが、ヴィスコンティを大勢で映画館まで見にいくなんて考えにくいことです。なんと東京は文化的なんだと驚きました。
もっとも、自分の青春時代の絶世の美少年を見たいというミーハー気分だったかもしれませんが・・それでもすごいです。


 そう、最近ネットで見かけましたが、この秋に映画館でこの「ヴェニスに死す」が見れるようですね!
まだ見てない方もテレビ画面でしか見ていない方も、ぜひ映画館で見てみてください!(そして途中で寝てしまっても恥じないでください)



数年前、幸運にもそのヴェニスヴェネツィア)に行くことができました。この映画を象徴するシーンのビーチが中心からはちょっと遠い島にあって、さらにビンボー旅行だったので島についてからも行き当たりばったり右往左往、足でその場所を探したので、一緒に旅行した女性を八月のイタリアの炎天下さんざん歩かせてしまいました・・・「何も言わずに付き合ってくれてサンキュ」そして「素直にI'm Sorry」、おかげで一生の思い出ができました。。


Death in Venice - Trailer