(ご注意:ネタバレ含みます)
映画「ノマドランド」を見ました。
今年のアカデミー作品賞、監督賞、主演女優賞を受賞した中国出身のクロエ・ジャオ監督の映画で、フランシス・マクドーマンド主演。
開始10分ぐらいでもう画面の中に吸い込まれていました、「なるほどこれはいい映画だ」。
夫を亡くし、世界金融危機(リーマンショック)で地域の産業が潰れ自分の家も失った60歳代の女性が車(キャンプカー)を住処に旅をしながら見つけた仕事をして暮らす、そんなノマド(遊牧民・放浪者)生活を描きます。
主演女優のフランシス・マクドーマンドは名前すら知りませんでしたが早々に名女優だということは分かりました。最初ドキュメンタリだっけ??などと思ったぐらいに演技感の無い、存在する一人の人間でした。
映画では美しく撮られたシーンはありますがノマド生活をけっして美化はせず厳しい面も描き、ただ哀愁はあっても絶望や悲観的でもなく、静かに少し俯瞰で一人の人生を映しています。
見ながら自分がそうなったらどうなるだろうと色んなことを考えました。住民票とかあるんだろうか、病気になったらどうするんだろうか、この年齢でもそんなに働かなくちゃいけないのか、夜中もエンジンかけたままかな、排泄物はどこに処理するんだろうか、などなどなど。
正直言いますと、自由でちょっとよさそうだな、、と思う自分がいました。いや実際には厳しさのほうがまさるでしょう、しかもアメリカの広大な土地や大らかさがあってこそかもしれません。
経済的理由が一番の理由と思いますが、今の70歳ぐらいの方だと青春期はウッドストックやら映画「イージーライダー」(見てないですが)、ヒッピーの時代。そんな世代的なスピリッツが残っているということはあったりするのでしょうかね。(つづく)
Steppenwolf - Born To Be Wild (Easy Rider) (1969)