昨年9月に行った尾道・竹原への小旅行のこと(11)

尾道ではこの朝の3時間程度しか見て回ることができない。
本当はもっとゆっくりと「時をかける少女」以外の尾道作品のロケ地も含めて巡りたいわけだけど、しかたがない。
幸い、観光案内所でもらった「おのみちロケ地案内図」を見ると、「時をかける少女」のロケ地はある地域にかたまっていて回りやすい。


まずは深町君の家から行こう・・・こっちの道かな・・・てくてくてく

!!!

ふっ普通の住宅地じゃん!


傾斜沿いの尾道らしい細い路地に普通の民家が並んでいる・・・
どれが深町君の家なのか分からん、し、知りたい、でも門の中をじろじろ見るのはさすがに失礼やし申し訳ない。
いや、これが土日の昼間なら、まだ慣れていらっしゃるかもしれない。
だけど、平日のこんな早朝にじろじろするのは、さすがにあかんやろ・・・。

深町君の家、断念。


いえ、そもそも深町君の家は、映画の頃のままには残っていないという情報。
よく考えたら、30年前の映画、そのままのはずないやん!

地の方々ばかりが住んでる地域、その後は、人とすれ違ったときは挨拶をしよう、と決めた。
そして、せめて大林映画好きの観光客であることが分かるようにとカメラを首からさげて歩いた。
・・・よけい怪しい?

しかしそれからは、いろいろと印象的な場所を見ることができました。
まず艮神社。
主人公・芳山和子が土曜日の実験室へと過去からタイムリープしていくシーン。
最初に見たときに感動に体が凍てついてしまった、そのシーンに出てくる、艮神社。

ああ、そうそうここだ!!(感動)

ただここで(その後のロケ地巡りでも)、決して悪い意味ではなく、映画、映像のマジックが一つ解けた思いがしました。
いえ、見る角度によっては実際の景色は映画とは印象が異なるという、ただ当たり前のことなんです。

このロケ地に立って自分が見ている景色は、360度の景色です。
それに対して映画が映す映像は、その景色の中のほんの一部でしかない。
でもその一部を、視聴者はその景色の全てだと錯覚して映像の世界に入り込むわけです。

映画はそのマジックでもって人を魅了し魔法をかけるわけですが、TVなど場合によってはそれをまやかしとして悪用する。
知識としては分かっていても、実感としてそれがつかめた気がしました。

誤解の無いよう言わせてもらいますが、艮神社は趣のある風情でとてもよかったんですよ。


(つづく)