真夏の夜のジャズ

Miles Davis - Stella by Starlight (1958)


「ジャズは夜がにあうね」


渋いサラリーマンのおじさんがウィスキーをすすりながら言ったのでありません、


大学生の頃に、友人・Kが言った一言です。


三宮の中古レコード(CD)屋を見に行った帰りでしょうか、


神戸から大阪に向けて運転していたときに、ジャズファンになっていた僕が、


アルバム「1958MILES」をカセットテープで流したときでした。


本当にそうですね、ジャズの音と夜の雰囲気はよく合います。
このアルバムは大学一年のときに僕が買った初めてのジャズのCDでした。
純粋な知的好奇心と、音楽の幅を広げたいのと、それにプラスしてどこか格好よく見られたい意識があったのかも知れません、ジャズを聞いてみようと思いました。(マンガ「美味しんぼ」でたまに紹介されていたこともあります)
そこでマイルス・デイビスはジャズの代名詞のような存在だということは知っていましたから、マイルス・デイビスを聞こうと、そしてそれを聞いてみて自分には理解できなければそれはそれでいいかというぐらいの気持ちで、当時街のそこここにあったレコード(CD)屋で、この「1958MILES」をジャケ買いしたのです。


うれしかったですね。


すごくいい音楽だと思いましたし、難しそうなジャズが自分にはいいと思えた、そのことがとてもうれしかったです。

今、アマゾンのレビューを見てみるといろんなことが分かります、このアルバムは日本編集版で、ジャケット・デザインは池田満寿夫だということ。
そして、聞きやすくてジャズ初心者には最適だということも書いてあります。
最初の出会いはいかなるときも(?)大切です。たとえば、本当はすごく相性のいい作家だったとしても、最初に読んだ作品がつまらいと感じたら、その時点で興味がなくなって先に進まなくなるというような。よくあることかもしれません、でももしかしたら人生の大きな損失につながることにもなりかねません。そうそう、村上春樹氏の本を読むなら代表作だからといって最初に「ノルウェイの森」は読まないほうがいいですよね。(もっとも自分にとっては村上春樹作品はその他もあまり心に響いたことはありませんが)


だから最初にこのアルバムを出会えた自分はラッキーだったと思います。名盤だからといって最初にジョン・コルトレーンの「至上の愛」を聞いていたら・・・その後ジャズを聞き続けたかは分かりません。そもそも「至上の愛」はジャズファンでもみんなが理解できるわけじゃないですから(笑)。お酒の初心者が最初にウィスキー飲んだらどうなるでしょう(笑)。
それからはちょっと小金が入ればジャズのCDを買ったり、ジャズジャイアンツが来日すれば聞きに行き、たまに大阪のジャズのライブをやってる店にいったりしていました。
ジャズを聞くことで音楽の幅がずいぶん広くなりました。(基本)ボーカルのない音楽を、バックグラウンドでなく「音楽」として集中して何分も聞くってことはポピュラー音楽を聞くのとは違う態度が必要になるからです。集中力とか集中力の持続力、知的体力、音に意味を見出すことなどが求められるように思います。逆にいえば好きになって聞いていくうちに、自然とそういった能力も身についてきます。


ただ、ちょっと小理屈臭く書きましたけど、音楽ですからただ音を聞いて楽しめればいいんです。
話はそれてしまいますが、今はうらやましいことにネットでいろんな情報も入るし、YouTubeでまずは聞いて、自分の耳で買うアルバムを決めれますが、当時は評論家方々の書かれたバイヤーズガイドを参考にするぐらいしか方法がなかったんです。さすがにずっとジャケ買いし続けるわけにはいきません(笑)、学生のお金じゃ無理。だけどジャズには歴史も幅もありますからなんの指針もなけりゃ大海をコンパスも北極星もなく航海するような(?)もんです。
それが、そのジャズ評論家の方々の世代的特徴が色濃く出てますが、そのバイヤーズガイドっていうのが、ジャズはこういうもんだからこう聞け、このアルバムは認めるがこれは全然駄目だ、というような決め付けがまあ激しいんです。アルバムのガイドだけでなく精神的姿勢まで指導される(笑)。
別にビル・エバンスが好きな人ならビル・エバンスばかり聞いてもいいじゃないですか。それがそういう人はジャズが分かってないだとか、僕が好きなキース・ジャレットのあのアルバムはメロディが大甘で聞いていられないとか、本当にもううんざりですね。
さらにはエレクトリック楽器は認めないとか、シンセギターを使うようなパット・メセニーは認めないとか、結局そういう人は形式ばっかりで、本当には音を聞けていないのだと思いますね。学校の音楽の先生にもこういうタイプの人が少なくなさそうです。
今はいい時代になりました、そんな頭の固い人たちのうんちくを聞かなくても、インターネットでいろんな人のレビュー・感想が見れますから。


本当に音の分かる人だったら、ポップスでもロックでもジャズでもクラシックでも民謡でもetc..なんだってそのよさが分かるはずですよ。
そういうわけでLet's Enjoy MUSIC!!


Miles Davis - On Green Dolphine Street (1958)

編集がすばらしいです。ソロをとっている奏者の写真が順に流れています。