昨年9月に行った尾道・竹原への小旅行のこと(12)

尾道の大林映画ロケ地巡りは、艮(うしとら)神社を後にして早足で次を回る。

御袖天満宮(みそでてんまんぐう)、ここには『転校生』で、主人公の一美と一夫が一緒に転げ落ちる(結果、男女性別が入れ替わってしまう)有名な石段がある。おお!まさにここ。
そして『時をかける少女』の芳山和子の家、外観ですぐに分かった。「よ、芳山君・・」じ〜〜ん。


この日は平日、ホテルを出たのは朝6時台だったのでまだ往来する人もまばらだったけど、最後の目的地、長江小学校の方向へ歩いている頃には、もう通学通勤の人たちが大勢行き来していた。
ランドセルを背負って並んで歩く小学生、車で通勤する勤め人、尾道らしく坂になっている長江通りを自転車で駆け抜ける高校生・・。

ちょっと不思議な気分になった。
大阪からやって来て朝の早くからカメラ提げて歩き回ってる非日常な自分と、いつもの新しい一週間が始まる日常生活の尾道の人々との交錯。何が普通で何が普通じゃないのか・・・自分て一体何者なんだろう、とかなんだかポンワリした気分になった。

長江小学校は実際には小学校だけど、『時をかける少女』では高校として使われていた。
桜の下を学校へ急ぐ主人公たち、ああ!あの校門だ。


ネットで一応大雑把には調べてはいたけど、もっと綿密に調べて行くべきだった。
実際に現地に行ってみると、だいたいこの辺なんだけどと分かっていても、いくつかの場所は判明できないままになってしまった。
ただ、それでも十分満足できた。さてお次は竹原へと向かおう。


いい気分でホテルに戻って、シャワーを浴びて、荷物をまとめる。計画どおり。
チェックアウトして、また外へ出る、本当にいい天気だ。
それに都会の空気とはやっぱり違う、清々しい。

尾道駅へ向かって商店街を歩いていると、店先で尾道名物という「たこ飯」が売ってある。
お腹もすいたし、現地では現地のものを食べるべし。
一つ買ってから駅で食べようかと歩いていると、「放浪記」の林芙美子像があり横に座れるところがあった。
あああこれが旅だね、ここで食べよう。
爽やかな朝、裸の大将的な開放感、たこ飯も美味しかった。
(実は、林芙美子のことは何も知らず帰ってから調べました)

そこから尾道駅へはすぐ。
青春18切符を見せて、駅の改札をくぐったとき、あるおばあさんが誰かに向かって言う、
「ありがーとう。」

こ、この響きはっっ


(つづく)